令和元年8月7日 エアロと男子新体操
基本動作の奥深さ
昔の、エアロビクスのビデオ。
見てみると、早送りする事無く、ずっと全部見てしまう。
飽きない。
これは、フォームチェックしながら見るからだろうと思う。
ここは、つま先まで伸びてきれいに出来ている、とか、
ああ、ここは反対の腕が遊んでしまっている、とか、
もっと柔軟性が有れば、とか、
そんな事を感じながら見てしまうのだ。
で、この、昔の競技会のエアロビクスを見て、
これの何が面白いの?という人も居るだろうな、と思った。
もっとダンスっぽくやればいいのに、とか、
もっと面白い振り付けをすればいいのに、と思う人はいるだろうな、と。
でも、やっている本人たちは、基本動作を極める事に執念をもち、喜びを感じていたのだ。
基本動作以外に興味は無いのだ。
いかに美しく動くか、
いかに可動域一杯に動くか、
いかに姿勢を崩さずに動くか、
いかに腕や脚が真っ直ぐ伸びている様に見せるか、
いかにハイキックを真っ直ぐ高く挙げるか、
そういう事に執念を燃やしてやっているのだ。
そして、そうしようとすればするほど、運動強度が高くなるのだ。
その、キツさも我々の喜びだった。
キツければキツいほどうれしかったのだった。
何のスポーツでもそうだが、見た目は軽々とやっている様に見えても、
実はかなりキツい事をやっている、という事が有る。
そのスポーツの経験者なら、見てすぐ「ああ、これはきついな」と解る。
そんな事を考えてみて、気が付いたのだが、自分が男子新体操を好きになったのも、こういう所なのではないか。
姿勢が美しいとか、基本動作が美しいとか、コントロールされた動きをしているとか、
そんな所を見て感動しているのだな、と思った。
なので、やっぱり自分としては、男子新体操を見ていて、基本的な所に感動を見出す。
タンブリングなら、やっぱり3つバックスワンが一番好きだったりするのだ。
上挙が好きだったりするのだ。
男子新体操がなぜ広まらないのか考えた時、やっぱり知らない人が見たら地味に見えちゃうんだろうな、と思った事が有る。
知っている人が見れば、どんだけ凄い事をしているのか解るだろうが、知らない人が見たら派手さが無いのだろう、と。
いやいや、でも、そこが良い所、美しい所なんだよ、と言っても理解してもらえないのではないか。
エアロビクスでも、ダンスっぽいのが好きな人と、基本的でキツいのが好きな人に分かれる様だ。
ダンスっぽいものが好きな人にとって、基本的なものは「つまらない」ものでしかないのだろうと思う。
なので、男子新体操を好きな人でも、ダンス派と基本派に分かれるのかもしれない。
でも、世の中、なんでもそうなのかもしれない。
若い友達が自転車を買ったのだが、タイヤの小さい奴を買った。
こんなタイヤが小さいと遅いじゃん、もっと大きいのにすればいいのに、と言うと、
このほうがかっこいいから、だと言う。
そういう事なのだ。
見た目が派手だったりしないと「一般」には広まらないのだろうと思うのだった。
だけど、少数派であったとしても、やっぱり基本は美しいし大切だと思う。
日本生まれの美しいスポーツ 男子新体操入門

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