死体捜索初体験
夜9時、大阪出張から帰る。
爆弾探しの仕事だった。彦根で雪の為3時間も渋滞した。
会社で11時頃までおみやげ話をして、さて帰ろうかという時、仕事が入る。
千葉で漁師のじいさんが海に落ちたとのこと。明日遺体捜索だって。
9時間も運転して目がチカチカしていたので、明日は寝坊しようと思っていたので、がっくり来る。結局会社に泊まる。
大阪での爆弾探しは、海の仕事ではなかったけど、人手不足だそうで、潜水士免許交付待ちの俺が行く事になった。交付待ちの身ではありながら、潜る仕事もしちゃってたんだけどね、、、。
工場の建設用地に戦時中の1トン爆弾が埋まっているかもしれないという事で、磁気探知器で爆弾を探す仕事です。これは海底でも良くやる仕事なのです。
結局、焼夷弾を3発発見しただけで終了。
「1トン爆弾って、どれくらい大きいんす?」
「まあ、これくらい、だな」
「えーー?そんなにでかいんすか?」
「しかし、よくそんなもん空から落とすわな」
「当たったら痛いで。ほんまに」
朝7時起床。
ボンベ20本、その他フル装備を積んで全員出動。いつも一人か二人でバラバラに仕事に出るので、こんな事は珍しい。
現地に着いたのは昼だった。先発隊は朝6時から捜索しているとの事だが、まだみつからないらしい。船に道具を積んで、メシ食いながら沖へ向かう。
さて、広い海の中から一つの死体を探すというのは大変な事なのだ。
どこから探し始めていいか解らない。一度潜ってしまうと方向も良く解らなくなるし、これは実に大変な事なのだ。
海底の視界は3m、水温5度、水深12m。
俺達のチームのダイバーは6人。
長いロープに6mおきに一人づつつかまって、直線を押して行って捜索する事にするけれど、何の目標も無い中で真っ直ぐ泳ぐ事は出来ません。ぐちゃぐちゃにこんがらがってしまって失敗。そこで、ロープを短く6mにして二人一組で探す事にする。
この薄暗い中から死体が出てきたらイヤだなぁ、、なんて思いながら探す事30分。
前方から何か見えてくる。な、なんだ?あれは?
で、で、でたぁーーー!
と思ったら、ロープが真ん中で何かに引っかかって、両端のダイバー同士が正面衝突しただけだったのでした。
そこで今度は、15mくらいのロープの端にアンカーを結びつけて、一人が円を描いて捜索する事に。一人だとさらに心細い、、、。
ボンベの交換に船に上がってタバコを吸っていたら、ザバァっと社長が上がって来て、「有った」と一言。これに結んできたから上げてくれ、とロープを渡される。
恐る恐る引いてみると、ゆっくりじいちゃんが上がってくる。
肌がマッシロだった。両手を前に突きだしたままで固まっていた。服は、首からかけたタオルまでそのままの状態だった。水が冷たいので、海に落ちてすぐ死んだのだろうということだった。
俺も海で死んだら、ああいうふうになるのかなぁ、、、、。
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